
前回は、中国語と英語の共通点について、皆さんにご紹介しました。
ただ、中国語とはどのような言語か、英語と対比してその構造を捉えるには、英語との相違点もきちんと知っておかなければなりません。
…という訳で、今回は中国語と英語の違いについて、ポイントを絞ってお伝えしていきたいと思います。
それでは、早速いってみましょう(^^)!
① 格による人称代名詞の変化がない
英語では、格の違いによって、人称代名詞が変化しますね。
下記に英語の人称代名詞の変化がわかる一例を挙げたいと思います。

例:【I】
主格 I
所有格 my
目的格 me
所有代名詞 mine
英語の授業で「アイマイミーマイン、ユーユアーユーユアーズ」なんて、呪文のように唱えて覚えた方も多いのではないのでしょうか?
中国語には、このような人称代名詞(中国語でいうと人称代词)の変化はありません。

例:【我(wǒ)/私】
◆ 我是日本人。 私は日本人です。
◆ 这是我的课本。 これは私の教科書です。
◆ 请把你的书借给我。 あなたの本を私に貸してください。
このように、文のどこに来ても、「我」は「我」です。
また、少し話はずれますが、人称代名詞の複数形も、 「我们(wǒmen)/私たち」 「你们(nǐmen)/あなたたち」 「他们(tāmen)/彼ら」のように「 们(men) 」を付けるだけで複数形になってしまいます。
これについても格の変化がありません。
こう考えると、中国語は英語に比べてかなりシンプルと言えます。
② 時制による動詞の変化がない

私自身が中学生で最初に英語を習った時、一番苦しめられた(?)のが、時制の変化による動詞の変化です。
例:【eat】
現在形:eat
過去形:ate
過去分詞:eaten
…な~んて変化するので、会話練習や作文の時も、「え~と、I eat… じゃなくて昨日食べたんだから、I ate an apple yesterday!」など、いちいち頭の中で大混乱が起きていました。

実は、中国語では、時制による動詞の変化はありません。
つまり、「吃(chī)/食べる」という単語があれば、昨日食べようが、今食べていようが、明日食べようが、「吃」は「吃」なのです。
では、どうやって時間を表すのでしょうか?
◆ 我昨天吃了一个苹果。 私は昨日リンゴを1個食べた。
◆ 他现在吃着一碗拉面。 彼は今一杯のラーメンを食べている。
◆ 我们明天打算去吃日本料理。 私たちは明日日本料理を食べに行くつもりだ。
このように、文の中に「昨天(zuótiān)/昨日」や「明天(míngtiān)/明日」などの時間詞を入れて、時間を表します。

また、「了(le)」や「着(zhe)」などのアスペクト助詞を入れることでも、今動作がどのような状態になっているのか(動作が完了したのか、それとも継続中なのか、等)を表すことができます。
アスペクト助詞については、また今度詳しくご紹介したいと思います。
③ 疑問文の作り方が簡単!

英語では、疑問文の作り方も一筋縄では(?)いきません。
なぜなら、平叙文の語順と疑問文の語順は違うからです。
なので、
◆ 平叙文:That is a bench.
◆ 疑問文:Is that a bench ?
◆ 平叙文:I’m happy.
◆ 疑問文:Are you happy ?
◆ 平叙文:He went to work yesterday.
◆ 疑問文:When did he go to work?

でも、中国語はこれに比べるとずっと簡単!
例えば、Yes/Noでこたえられる文であれば、最後に疑問を表す語気助詞「吗(ma)」を置くだけで、語順を変えなくてもそのまま疑問文になってくれるのです。
例:
◆ 平叙文:他经常去看电影。 彼はよく映画を観に行きます。
◆ 疑問文:他经常去看电影吗? 彼はよく映画を観に行きますか?

また、疑問詞を使った文でも、英語のように順番を入れ変える必要はありません。
例:
◆ 平叙文:我想吃中国菜。 私は中国料理を食べたいです。
◆ 疑問文:你想吃什么? あなたは何を食べたいですか?
◆ 平叙文: 他是上周去北京的。 彼は先週北京に行ったのです。
◆ 疑問文: 他是什么时候去北京的? 彼はいつ北京に行ったのですか?
◆ 平叙文: 这是我的钢笔。 これは私のボールペンです。
◆ 疑問文: 这是谁的钢笔? これは誰のボールペンですか?
中国語の場合、疑問文の場合でも日本語と同じように基本の語順は変わらず、聞きたい部分だけを疑問詞に置き換えているのがわかりますね(^^)
終わりに

いかがでしたでしょうか?
中国語は、英語に比べるとかなりシンプルな構造をしています。
個人的には、中国語は短いフレーズで多くの情報量を伝えることのできる、非常に合理的な言語だと思います。
今回は英語との比較から「中国語とはどんな言語か?」ということについて迫っていきました。
ですが、中国語の学習を進めるほど、中国語独特の世界観が見えてきて、本当に奥が深いと思います。
特に、アスペクト助詞や結果補語は、中国語を習うまで自分の中にそのような概念が無く、初めて中国語を勉強した時には、「このような世界の捉え方があったのか!!」と新鮮な感動を覚えました。

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