ここ数年、中国の一帯一路構想って、ニュースなどでよく耳にしますよね?
でも、具体的にどんな構想なのでしょうか?
という訳で、今回は中国の一帯一路構想について、わかりやすく解説します(^^)!
① 一帯一路ってどんな意味?
そもそも、一帯一路って、何なのでしょうか?
それには、中国の歴史が関係しています。
皆さんもシルクロードというのは、一度は耳にしたことがあると思います。
ちなみに、このシルクロードのことを、中国では丝绸之路(スーチョウジールー)と言います。
その昔、中国は、このシルクロードを使って、ヨーロッパと交易を行っていました。お互いに足りてないものを交換すれば、どっちもハッピーになれる!というのが、交易を行う一番の理由です。
◆ 昔のシルクロード ◆
(1) 草原の道(一番北を通るルート)
(2) オアシスの道(草原の道より南側のルート)
(3) 海の道(船が行き来する、海上交易路)
◆ 現代の一帯一路 ◆
(4) 一帯:上記でいうところの(1)と(2)に該当。つまり陸路。
ルート:中国西部 ⇒ 中央アジア ⇒ ヨーロッパ
(5) 一路:上記でいうところの(3)に該当。つまり海路。
ルート:中国沿岸部 ⇒ 東南アジア ⇒ アラビア半島 ⇒ アフリカ大陸
⇒ 一帯一路構想をすっごくざっくり言うと、昔のシルクロードを、
中国主導で現代に再現しちゃいましょ!ってことです。
② 一帯一路を使って、中国は何をしたいの?
中国は、中国主導で、一大経済圏を作り上げようとしています。
地理的に見ると、一帯一路構想の範囲は、北はロシア、西はドイツやオランダ、南は東南アジアやアフリカまで及びます。
また、人口でいうと、この一帯一路構想の影響を受ける人々は、世界の6割以上にも上るとか!
中国は、これらの地域に、港湾や発電所、鉄道、通信設備といった各種インフラを整備し、経済の活性化を図っていきたいと考えています。
これは、大きなビジネスチャンス!ということで、複数の国々が協力や投資に積極的な姿勢を見せています。
特に、発展途上国は、中国マネーが流れ込むことによって、飛躍的に発展する可能性があるのではと期待を寄せています。
ただ、この一帯一路構想には、経済を活性化させるという目的以外に、シーレーン(国家存続のために必要な、海上交通路)を抑えたいといった、軍事的な思惑も見え隠れしています。
石油が採掘できる地域は世界的に見ても限られているので、世界の国々は、自国まで、船やパイプラインで運んできます。日本は島国なので、船で運ぶしかありません。でも、その通り道を、もし「一路」を仕切る中国に、牛耳られてしまったら…。日本の安全保障上、大きな問題です。
他の国々でも、「確かに中国主導で色んなインフラ整備や投資をしてくれるのはありがたいんだけど… そうやって色々やってもらったら、何かこっちから意見しにくいよね…。」「なんかふと気付いたら、思いっきり中国に主導権握られてたんだよね…。でも強く出れない、こっちは中国に借金してるわけだし」な~んてことにもなりかねないので、警戒する意見もあります。
現に、スリランカは中国への債務返済に困ってしまい、港湾の権益を99年間、中国側に譲渡することになりました。
③ 日本はどうするの?
「世界の国々が、一帯一路構想に関して色んな考えを持っているのはわかったけど… 日本はどーすんの?」と思う方もいるかもしれません。
当初は、一帯一路構想に警戒感を露わにしていた日本側ですが、最近では安倍首相が連携に協力的な姿勢を見せるなど、少しずつ変わってきているようです。
経済界は、この一帯一路構想に熱い視線を注いでいるようです。ビジネスの観点から見れば、これはもちろん大きなビジネスチャンスと捉えられるでしょう。一帯一路構想のような、巨大なマネーが流れ込むビッグプロジェクトは、そうそうあるものではありません。
ただ私個人としては、この中国主導の構想に参加するかどうかは、日本の安全保障戦略とも関わってくるので、慎重に参加の是非を検討すべきだと思います。
短期的にではなく、中長期的に見て日本がどのような戦略を取っていくのか… 今後も目が離せません!
終わりに
中国が描いた壮大なビジョン、一帯一路構想。色々な問題をはらんでいることは事実ですが、アメリカが自由貿易主義に背を向けている今、これほどまでに明確かつスケールの大きなビジョンを打ち出している国家は、中国以外にはありません。
難しい問題もありますが、この一帯一路構想に対して日本が、そして世界の国々がどのような反応を示し、どこに向かっていくのか、注視していきたいと思います。
私が講師を務める中国語講座でも、中国事情について折に触れてお伝えしていければと思っています。レッスンでお会いできるのを楽しみにしています(^^)