私自身、とある企業の中国向け輸出部門で約7年間、中国人の同僚や、中国現地の顧客と一緒にプロジェクトを進めた経験があります。
そこで一緒に仕事をしてみて、日本国内とはまた違ったビジネス慣習に驚いたことが何度もあります。
これから、出張や出向等で中国に行く方、同僚に中国人の仲間が加わったという方、ビジネスの進め方や慣習について知っておくと、少しは心構えができますよね!
ということで、今回は中国でのビジネスあるあるについてご紹介したいと思います。
① 完全なトップダウン
日本では、現場から意見を吸い上げて改善するといった、ボトムアップの文化が根付いていますよね。でも、中国は完全なトップダウン。
特に国有企業では、トップの一言で方針が決まることが多いです。
そのトップといえど、国の方針、つまり中国共産党の意向を受けて動いています。つまり、中国の企業は、日本の企業以上に政治的な側面を帯びています。
なお、私自身の経験ですが、中国に出張に行ったものの、肝心のキーマンが出張や別の会議等でおらず、朝の時点で「あ…これ今日会議しても何も決まらないかも」といった予感がしたことが何度もあります(そして的中します)。
基本的に、中国に出張しての会議は、事前に中国側に根回ししてから行いますが、急に相手の予定が変わることもしばしば。
これから仕事等で中国に行かれる方は、キーマンの予定については、くれぐれもしっかり押さえてから行った方がよいでしょう。
② 超 個人能力主義
良くも悪くも、日本はムラ社会の名残で、みんなで協力して仕事を進めるという文化がDNAレベルで根付いている気がします。
でも、中国は仕事に関して言えば「超個人主義」。組織の中に自分の居場所を見出すというより、仕事は「自分の出世のため」「自分(と家族)の生活のため」に行います。
もちろん、中国でも繁忙期には夜中まで残業したり、といったこともありますが、日本のように空気を読んで「上司がまだ残ってるから帰りにくい」といったことはありません。
また、日本人と比較して、向上心が強く、野心を持った人が多い印象を受けます。まさに中国の史記にある「鶏口となるも牛後となることなかれ」の世界です。
③ 資料は分厚く!
中国は、見た目をとても気にします。
例えば、ビジネス等で提出する資料。最近日本では、社内資料を中心に「なるべく簡潔に」といった方向性でまとめる会社が増えてきていますが、中国は資料は分厚ければ分厚い方が良い、といった感覚があります。
資料の厚みが、プロジェクトに対する熱量を表す、と言わんばかりです。
なかなか対応するのは難しい部分もありますが、内容の如何に加えて、資料の立派さも重要視される可能性があることを覚えておくと、いざという時慌てなくて済むでしょう。
④ 人材が豊富
中国の現地メーカーを訪れた際に驚いたのは、その工場の広さです。最早ディズニーランド何個分とでも表した方が良いのではないかというくらい、広いです。もちろん、端から端まで歩いて行ったのでは時間がもったいないので、工場内の移動に自転車を使ったりします。
その広い工場に、何千人という人が働き、社員は全部で数万人という企業がざらにあります。
日本人は少数精鋭で攻める感じですが、中国は豊富な人材を武器に、日本では考えられないような大量生産や短納期を可能にしています。
これからAI等のテクノロジーの活用が進めばまた違うのでしょうが、現状では、このマンパワーに日本企業が太刀打ちするのは、非常に難しいと感じます。
➄ 夜の宴会は主戦場
中国側との交渉事は、揉めに揉めて昼間の会議では決着が付かないということもしばしば。そんな時でも、いや、そんな時だからこそ、夜の宴会が催されます。
昼間のオフィスの会議室が第一ラウンドだとすると、中華料理を囲んでの大宴会は第二ラウンド。アルコール度数50度以上の白酒や青島ビールを飲みかわしながら、丁々発止の駆け引きが行われます。
もしかすると、ここで相手の本音やオフレコの情報を入手できるかもしれません。
ただ、ここで気を付けたいのが、宴会中に繰り返される乾杯。中国の乾杯は「干杯」といって一滴残らず飲み干します。アルコールに弱い人は、飲みすぎにより、身体に重大な影響を及ぼすこともあるので、最初にアルコールアレルギーがあることなどを先方に伝えておくことが大切です。
終わりに
中国とビジネスをしていると、その底知れぬパワーを肌で感じます。
中国という国と世界で戦っていくというのは、並大抵のことではありません。
日本という国がこれからどこに行くのか、私たちはどの方向を目指していくべきなのか、考えずにはいられません。
私自身が日中ビジネスの現場で感じてきたことを、ストアカの中国語講座でもお役立ち情報として伝えていきます。皆様にレッスンでお会いできるのを楽しみにしています(^^)